ドローン事業に関する法規制対応、ドローンスクールの法務サポート、
スマートシティの行政規制対応、先進的な取組みを支援します。

お問い合わせ・
ご依頼はこちら

実績・事例 Published on 2020/04/06

自衛隊施設周辺での飛行

依頼内容

今回は、陸上自衛隊立川駐屯地周辺での飛行の依頼を対応いたしました。
自衛隊は、国の防衛施設に該当するため、周辺で無人航空機を飛行させる場合には、航空法上の許可とは異なる手続を行わなければいけません。
防衛施設周辺での飛行の場合には、飛行場所を管轄する警察署を経由して公安委員会への手続及び防衛施設の管理者への手続が必要となります。
今回は、航空法上の許可、公安員会への手続、防衛施設の管理者への手続を行いました。

法規制

航空法

航空法
無人航空機の飛行について航空法では具体的にどのような規制がされているのかを紹介します。
a.飛行場所、b.飛行方法、c.遵守事項として大きく分けて3つの項目が定められています

a.飛行場所
飛行場所によって許可の要否が変わります。航空法上の国土交通大臣の許可が必要な飛行場所は3つです。

➀人口集中地区の上空(DID地区)
国勢調査の結果により人口が多い地区が定められています。人口の多い地区を飛行させるには許可が必要になります。
人口集中地区に該当するか否かは、以下の航空局HPで確認することができます。
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

➁地表又は水面から150m以上の高さの空域
全国どこでも地表又は水面150m以上の高さを超える空域を飛行させる場合は許可が必要になります。

➂空港周辺の空域
空港敷地内および空港周辺の空域を飛行させる場合には、許可が必要になります。

 

b.飛行方法
航空法上の国土交通大臣の承認が必要な飛行方法は6つに分けることができます。

➀夜間飛行
日没後に飛行させる場合
(※明るくても日没後は夜間に該当します。)

➁目視外飛行
目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させることができない飛行の場合
(例:飛行高度が高くて視認できないなど)

➂人又は物件から30mの距離が確保できない飛行
第三者や第三者の車両などの物件との間に30mの距離を保って飛行できない場合
飛行の関係者や飛行関係者の物件は該当しません。

④イベント上空での飛行
祭礼や縁日などの多数の人が集まるイベントの上空で飛行させる場合

⑤危険物を輸送する飛行
航空法規則第194条第1項に掲げる火薬類、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質
類などを輸送する飛行

⑥物件投下
無人航空機から配送物を落下させるような場合
物件を地上に置く場合は物件投下に該当しません。

 

c.遵守事項
こちらは、許可や承認は必要ありませんが、飛行させる場合に遵守しなければいけない事項が4つ定められています。

➀アルコール等を摂取した状態では飛行させない
➁飛行の準備が整っていることを確認した後に飛行させる
➂航空機や他の無人航空機と衝突しそうな場合には、地上に降下等させること
④不必要に騒音を発するなど他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させない

小型無人機等の飛行の禁止に関する法律

「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等、防衛関係施設、空港及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止することにより、これらの重要施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等、良好な国際関係、我が国を防衛するための基盤並びに国民生活及び経済活動の基盤の維持並びに公共の安全の確保に資することを目的とする。」

すなわち、重要施設周辺で無人航空機を飛行させてはいけないと規定されています。

そして、そのような場所で飛行させるためには、各機関への手続きを行わなければいけません。こちらの手続きも施設・飛行場所によっても異なります。
今回の立川駐屯地のような防衛関係施設として指定されている施設はこちらとなります。

法6条関係:対象の防衛関係施設として指定された施設

防衛省市ヶ谷庁舎、朝霞駐屯地、札幌駐屯地、仙台駐屯地、伊丹駐屯地、健軍駐屯地、横須賀地方総監部船越庁舎、横須賀地方総監部逸見庁舎、舞鶴地方総監部第一地区、大湊地方総監部、佐世保地方総監部、呉地方総監部、府中基地、丘珠駐屯地、霞目駐屯地、立川駐屯地 、八尾駐屯地、目達原駐屯地、健軍駐屯地高遊原分屯地、大湊航空基地、八戸航空基地、館山航空基地、舞鶴航空基地、小松島航空基地、鹿屋航空基地、入間基地、春日基地、旭川駐屯地、帯広駐屯地、神町駐屯地、相馬原駐屯地、大村航空基地、岩国航空基地、千歳基地、三沢基地、百里基地、浜松基地、小松基地、築城基地、新田原基地、那覇基地、三沢飛行場、車力通信所、横田飛行場、キャンプ座間、厚木海軍飛行場、横須賀海軍施設、経ヶ岬通信所、岩国飛行場、佐世保海軍施設、立神港区、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、嘉手納飛行場、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場

法令上の手続

航空法

無人航空機の飛行の許可・承認を管轄している行政機関は国土交通省ですが、航空法137条により国土交通大臣の権限は地方航空局長又は航空交通管制部長に委任されています。
したがって、無人航空機の飛行許可・承認は地方航空局への申請することになります。

申請先は申請内容・申請者によって変わります。
場所を特定した個別申請の場合、申請先は飛行場所を管轄する航空局になります。

小型無人機等の飛行の禁止に関する法律

小型無人機等の飛行を行う48時間前までに、当該小型無人機の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に通報をする必要があります。

対象施設周辺地域が同一の都道府県内の2つ以上の警察署の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署を通じて当該都道府県公安委員会に通報します。

対象施設周辺地域が2つ以上の都道府県にまたがる場合には、すべての都道府県公安委員会に通報をしなければいけません。

なお、災害その他緊急やむを得ない場合に限っては、小型無人機等の飛行を行う直前までに、警察署に口頭で通報することで足ります。ただし、その場合であっても、同意を通報に先立って得る必要があります。

また都道府県公安委員会への通報に加えて下記の場合には、別途手続きが必要になります。

 

・「海域を含む施設周辺地域」の場合

小型無人機の飛行を行う48時間前に管区海上保安本部長への通報が必要。

・「空港」の場合

小型無人機の飛行を行う48時間前に空港管理者の同意・通報が必要。

・「防衛関係施設」の場合

防衛施設管理者の同意・通報が必要。

➀自衛隊の場合

飛行を行う10営業日前までに施設管理者の同意を得なければいけません。

➁在日米軍の場合

飛行を行う30日前までに施設管理者の同意を得なければいけません。

同意を得たうえで、飛行を行う48時間前に施設管理者への通報が必要になります。

・「皇居、赤坂御用地、仙洞仮御所に係る対象施設周辺地域」の場合

小型無人機等の飛行を行う48時間前までに、当該小型無人機等の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して皇宮警察本部長に通報をする必要があります。

弊所の対応

今回は、航空法上の許可取得のため、東京航空局への申請、立川駐屯地への通報届、立川警察署を経由した公安委員会への通報届を行いました。
立川駐屯地は、自衛隊の有人機が飛行する可能性があるため、飛行高度の調整も必要でした。
有人機との接触がないように飛行高度を調整したうえで、問題なく無人航空機を飛行させることができました。

自衛隊などの防衛施設周辺での無人航空機の飛行を検討している方は、是非弊所へお問合せください。

この記事に関連する
サービス

Related services

重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における飛行が禁止されています。小型無人機等の飛行に関する通報書

サービス料金66,000円

解説動画

重要施設周辺での飛行解説

「実績・事例」

重要施設である原子力規制庁周辺での最高高度336mの飛行依頼を対応いたしました。