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実績・事例 Published on 2020/11/02

映画撮影

依頼内容

今回は、映画撮影の依頼の対応しました。
海岸、港湾施設、海上での飛行を行うため複数の関係機関との調整及び手続が必要となりました。
また、飛行場所が木更津駐屯地に近かったため、木更津駐屯地との調整も行いました。
海上関係の手続は、本来行政書士が行うことができませんが、弊所では、海事代理士事務所と連携しておりますので海上での無人航空機の飛行も対応いたします。

法規制

港則法

◆規制の背景、根拠法
港内においては、多くの大小の船舶が狭い水域で輻輳して航行し、また停泊することから港外より航行上の危険が多いため、この危険防止のため港内でのルールである港則法が定められています。
港則法は、港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図ることを目的とした法律です。

◆規制の内容
港則法が適用される港及び区域は、港則法施行令別表1により定められています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340CO0000000219
また、港則法では、喫水の深い船舶が出入できる港または外国船舶が常時出入する港を特定港とし、港則法施行令別表2により定められています。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340CO0000000219
特定港内または特定港の境界付近で工事又は作業をしようとする場合は、港長の許可が必要です。
(特定港には、港長が置かれています。「港長」とは、海上保安庁法21条により海上保安庁長官が海上保安官の中から任命し、長官の指揮監督を受け、港則に関する法令に規定する事務を掌っています。)
「工事」と「作業」には明確な区別はありませんが、概念的には、工事とは行為の行われた場所において将来に施設等の痕跡を残すものをいい、作業とは行為の行われた場所において将来にこん跡を残さないものをいいます。
無人航空機の飛行が「作業」に該当する場合には、許可が必要となります。
作業に該当するかどうかの判断は、飛行内容や船舶の使用等によって異なります。
船舶を使用し、船舶上から無人航空機を離発着する場合には、舶交通の安全に支障を及ぼすおそれがあるため、許可が必要になる可能性が高いです。

港湾法、千葉県港湾管理条例

◆規制の背景、根拠法
港湾法
港湾法は、交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、環境の保全に配慮しつつ、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全することを目的とした法律です。

千葉県港湾管理条例
千葉県港湾管理条例は、県の管理する港湾に関し必要な事項を定め、その安全かつ効率的で、環境の保全に配慮した利⽤を図ることにより、港湾の適正な管理及び運営に資することを⽬的とする条例です。

◆規制の内容
港湾法によって各自治体の港湾管理者は「港湾区域及び港務局の管理する港湾施設を良好な状態に維持すること(港湾区域内における漂流物、廃船その他船舶航行に支障を及ぼすおそれがある物の除去及び港湾区域内の水域の清掃その他の汚染の防除を含む。)」が業務とされています。(港湾法第 12 条第1項第2号
木更津港を管轄しているのは、木更津港湾事務所となります。
つまり、木更津港湾事務所は、港湾区域及び港湾施設を良好な状態に維持しなければいけません。
具体的な木更津港湾の管理については、千葉県港湾管理条例に規定されています。
千葉県では、港湾施設内において行為(無人航空機の飛行)を行う場合には千葉県知事の許可を得なければならないと規定されています。

千葉県港湾管理条例第11条の3第1項
港湾施設内において、次の各号の⼀に掲げる⾏為をしようとする者は、規則で定めるところにより、知事の許可を受けなければならない。ただし、第五条第⼀項の規定により許可を受けて⾏おうとするときは、この限りでない。
⼀ 物品を販売し、⼜は頒布すること。
⼆ 業として販売するために写真撮影をすること。
三 募⾦、署名運動その他これらに類する⾏為をすること。
四 競技会、集会、展⽰会その他これらに類する催し及び映画の撮影のために港湾施設の全部⼜は⼀部を独占して利⽤すること。

海岸法

◆規制の背景、根拠法
昭和28年9月に東海地区に上陸した台風13号により、愛知県を中心として被害が全国に及び、復旧対策として特別立法が制定されて特別の国庫負担率が適用されるとともに、計画潮位や波のうちあげ高の検討等の復旧計画が工学的に決められるなど、我が国の「海岸」史上特筆すべき台風となりました。また、この台風による全国規模での被害、復旧に係る特別立法が海岸法制定の契機となり、昭和31年に「海岸法」が制定されました。
海岸法は、頻発していた油流出事故への適切な対応、自動車の乗入れ等による海岸環境の悪化から貴重な動植物の生息・生育環境を保全する制度となっていないことや、長大な海岸線に比して、海岸保全区域以外の海岸については法律の対象となっていないことなどの問題点があったこと等を踏まえ、平成11年に、法目的に海岸の「環境の整備と保全」、「適正な利用の確保」を追加するとともに、法定外公共物であった国有海浜地を一般公共海岸区域として法の対象とするなど 43年ぶりに抜本的な改正を行い現在に至ります。

海岸法は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図り、もつて国土の保全に資することを目的と、海岸を以下のように定義づけている。

「公共海岸」
国又は地方公共団体が所有する公共の用に供されている海岸の土地(他の法令の規定により施設の管理を行う者がその権原に基づき管理する土地として主務省令で定めるものを除き、地方公共団体が所有する公共の用に供されている海岸の土地にあつては、都道府県知事が主務省令で定めるところにより指定し、公示した土地に限る。)及びこれと一体として管理を行う必要があるものとして都道府県知事が指定し、公示した低潮線までの水面海岸法第二条第二項

「海岸保全区域」
第三条の規定により指定される区域

都道府県知事は、海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するため海岸保全施設の設置その他第二章に規定する管理を行う必要があると認めるときは、防護すべき海岸に係る一定の区域を海岸保全区域として指定することができる。海岸法第三条第一項

「一般公共海岸区域」
公共海岸の区域のうち第三条の規定により指定される海岸保全区域以外の区域海岸法第二条第二項

◆規制の内容
海岸の敷地は公共空間であるため、その使用は海水浴や釣りなど、誰もが自由に使える「自由使用」が原則です。
しかし、各自治体の海岸管理者の管理に服するため、各自治体によって規制が異なります。
許可や届出が必要になる海岸もある一方で手続が不要な海岸もあります。

第五条
海岸保全区域の管理は、当該海岸保全区域の存する地域を統括する都道府県知事が行うものとする。

第三十七条の三 一般公共海岸区域の管理は、当該一般公共海岸区域の存する地域を統括する都道府県知事が行うものとする。

航空法

◆規制の内容、根拠法
航空法で、空港の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面若しくは延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、進入表面若しくは転移表面の下の空域又は空港の敷地の上空の空域での無人航空機の飛行は禁止されています。航空法132条
包括許可なら原則、150未満の高度で飛行させることができますが、空港等周辺の場合には、飛行場所に設定されている表面によって高度制限がかかってきます。

法令上の手続

港則法

木更津港周辺において「作業・行事」をしようとするときは、港長あての許可申請が必要となります。
作業・行事(準備作業などの付帯行為も含む)が船舶交通に与える影響を審査するほか、講じられる安全対策等について審査されます。
行政手続法に基づく作業・行事許可申請の標準処理期間(審査期間)は、1 ヶ月以内となっております。
処理期間が 1 ヶ月に満たない申請については、実施予定日までに審査が終了しない場合があります。
申請は、作業・行事着手予定日の1ヶ月前までに海上保安部航行安全課に行います。

港湾法、千葉県港湾管理条例

木更津港湾施設内において行為(無人航空機の飛行)を行う場合には千葉県知事の許可を得なければいけません(千葉県港湾管理条例第11条の3第1項)。

平成8年4月1日に標準処理期間が設定されており、総日数10日間(土日・祝日等を除く)となっています。
審査基準は、平成8年4月1日に設定され、平成10年1月6日に最終更新されており、以下となります。
1使用許可を受けた者は、その権利を譲渡、転貸又は担保に供することはできない。
2千葉県港湾管理条例施行規則第3条に定められた様式に必要かつ十分な内容が記載され、下記の条件を満たしていること。
(1)使用目的が港湾施設の用途及び目的に合致していること。
(2)使用の面積、期間、方法等が妥当であること。
(3)使用許可の条件を順守できる資力、信用、技能等を備えていること。
(4)港湾施設を使用するために他法令上の許認可等が必要な場合には、これを取得していること。なお、他法令の許認可申請等を行う際には港湾施設の使用許可が必要な場合は、当該申請の意思が確認できること。
(5)その他港湾管理者が特に必要とする条件を満たしていること。
・個別審査基準未設定(個々の事例により判断すべきものであり、審査基準を設定することは困難であるため。)

海岸法

今回の飛行場所となる海岸では、海岸使用申出書の提出が必要となりました。
提出は、飛行予定日の5日前までとなり、関係機関の許可書や位置図、見取り図、企画書等を添付書類として提出しなければいけません。

弊所の対応

今回、下記機関と調整いたしました。

千葉海上保安部木更津海上保安署
今回は、木更津港から距離が離れている場所での飛行でしたので、作業の許可申請は不要でしたが、作業届の提出を行いました。
飛行場所や管理者によって提出書類の判断も異なるため、必ず調整する必要があります。

千葉県木更津港湾事務所、君津土木事務所
海岸での無人航空機の飛行については、自治体によってよっては手続が必要となります。
海岸なら飛行させても良いと誤認している方が多くいらっしゃるので関係機関に確認しなければいけません。

陸上自衛隊木更津駐屯地
飛行場所が木更津駐屯地の水平表面の該当するため、高度45m以下で無人航空機を飛行させるように調整しました。
空港や自衛隊周辺の場合には、飛行高度制限が設けられていますので、高度150m以下ならでも別途許可が必要となる場合があります。

千葉県警富津警察署
各手続きの際に、管轄の警察署と調整も必要になりましたので、管轄警察署と調整しました。
周辺住民からの通報等があった場合に備えて無人航空機を飛行させる場合には、飛行場所を管轄している警察署とあらかじめ調整しておく方がよいでしょう。

お問い合わせ

academic worksでは、海事代理士事務所と連携しておりますので、海上関係の手続も全てご対応いたします。
ドローンを海上で飛行させる場合に、行政書士だけでは完結しない手続も発生しますので、是非ご相談ください。
詳細についてはお問合せフォームまたはお電話にてご連絡ください。
academic worksドローン規制担当
TEL:03-5318-9046(平日10:00-17:00)