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実績・事例 Published on 2021/09/28

無人島海驢島(とどじま)での空撮

依頼内容

今回は、海驢島(とどじま)での高度300mの空撮依頼を対応いたしました。

海驢島は、北海道礼文郡礼文町(大字船泊村)に属する無人島で、名称は「海馬島」や「トド島」とも表記され、またアイヌ語における名称はポンモシリ(Ponmosir)です。利尻礼文サロベツ国立公園に含まれる島でもあります。

<写真撮影者>
市川範之さん
神楽農機JAPAN株式会社 代表取締役
有限会社農業生産法人市川農場 代表取締役

法規制

有人航空機の最低安全高度との関係から、無人航空機は原則150メートル以上での飛行はできず、飛行させるためには許可が必要になります。
無人航空機を150メートル以上の空域において飛行させることを制限している理由は、航空機(人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船など)と深く関係しています。
航空法は「航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない」(81条)として最低安全高度を定めています。そして省令では、➀人又は家屋の密集している地域の上空、➁人又は家屋のない地域及び広い水面の上空、➂そのほかの地域の上空に分類して次のように規定されています(174条)。

➀人又は家屋の密集している地域の上空:
航空機を中心として水平距離600メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から300メートルの高度

➁人又は家屋のない地域及び広い水面の上空:
地上又は水上の人又は物件から150メートル以上の距離を保って飛行することのできる高度

➂そのほかの地域の上空:地表面又は水面から150メートル以上の高度

詳細についてはこちらをご参照ください。
高度150m以上飛行:https://academicworks.jp/regulation/78

法令上の手続

ドローンに関する航空法を管轄している行政機関は国土交通省ですが、航空法137条及び航空法施行規則240条40号の2及び240条の2により国土交通大臣の権限を空港事務所長に委任しております。
したがって、150m以上の飛行許可申請は管轄の空港事務所長に対して行うことになります。
許可を取得するためには灯火を装備するなどの要件があります。高度150m以上の場合は、風速が速いため、航空局の標準マニュアルでは飛行させることができません。飛行マニュアルの風速に関する規定を変更する必要があります。
許可申請は管轄の空港事務所長に対して、飛行開始予定日の10開庁日前までに申請しなければいけません。

その他の手続

国立公園内で無人航空機を飛行させる場合には、下記のような影響が生じる可能があるため、飛行予定地域を担当している環境省の事務所(国立公園管理事務所・管理官事務所・自然保護官事務所)と調整する必要があります。

①自然景観への影響
国立公園は、山・森・お花畑・紅葉といった美しい自然の景色のほか、開放的な空間・自然の音・静けさ等を含む、優れた自然景観を保護するための地域です。
国立公園では、多くの方々がマナーを守り、このような素晴らしい自然景観を楽しんでいます。国立公園において無人航空機が飛行し騒音を発生させることは、これらの自然景観に悪影響を与え、他の公園利用者に対して不快の念を抱かせる恐れがあります。
また、国立公園内には、歩道等がなく容易にアクセスできない場所が多く存在します。不時着した場合には、機体の回収が困難となり、国立公園内に残置されて自然景観を損ねる恐れがあります。

②他の公園利用者への影響
国立公園の中には、ビジターセンターや遊歩道など、多くの方々が利用している地域が各地にあります。このような利用者の多い地域において無人航空機を飛行させ、何らかの理由により無人航空機が他の公園利用者に衝突した場合には、大きな怪我をさせる恐れがあります。

③野生生物への影響
豊かな自然環境が保全されている国立公園には、様々な野生生物が生息・生育しており、我が国の生物多様性の保全上、極めて重要な地域です。このような地域でドローンを飛行させた場合、飛行の音に反応して、野生生物の本来の行動や生態を変えてしまう恐れがあります。

弊所の対応

今回、下記機関と調整いたしました。

<高度150m以上の許可について>
・国土交通省札幌航空交通管制部
・東京空港事務所

<利尻礼文サロベツ国立公園での飛行について>
・環境省北海道地方環境事務所 稚内自然保護官事務所
・ふなどまり漁業協同組合

高度150m以上の飛行許可は、飛行場所によって調整する機関や調整数が異なってきます。海驢島は、最北端の無人島のため、複数の機関が管轄する空域に該当せず、札幌交通管制部のみでした。

また、利尻礼文サロベツ国立公園での飛行のため、調整については、管轄する機関は、稚内自然保護官事務所でしたが、飛行場所に関わりが強い団体もいます。海驢島周辺の海域は、ふなどまり漁業協同組合が管理しているため、組合とも調整いたしました。

今回は、しっかり調整したうえで、問題なく飛行させることができましたが、国立公園ごとに飛行の可否が異なります。必ず確認し、調整してから飛行させなければいけません。

国立公園での無人航空機の飛行・空撮を検討している方は是非お問い合わせください。

academic worksドローン規制担当
TEL:03-5318-9046(平日10:00-17:00)

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「実績・事例」

弊社では「地表からの高度:1200m、海抜高度:2188m」の対応実績がございます。高度が上がるほど、有人機との衝突の危険性が増すため、関係機関との細かい調整が必要になります。