ドローン事業に関する法規制対応、ドローンスクールの法務サポート、
スマートシティの行政規制対応、先進的な取組みを支援します。

お問い合わせ・
ご依頼はこちら

実績・事例 Published on 2021/03/31

設備のコンクリート補修

依頼内容

昨今ドローンに殺虫剤や塗料・農薬等が入ったスプレー缶を装着することで作業の効率化が図られています。
今回は、設備のコンクリート補修での無人航空機の飛行依頼を対応しました。
ドローンにスプレー缶を装着する場合には、危険物輸送及び物件投下の承認が必要となります
今回は、危険物輸送及び物件投下の承認手続きを行いました。

法規制

航空法

危険物輸送
爆発性を有する物件や他人または物に危害を与える恐れのある物件を無人航空機で輸送する場合、無人航空機が故障等によって落下してしまえば、人やモノに危害を加えてしまう可能性が高くなってしまいます。この理由から、無人航空機で危険物等を輸送することは原則として禁止されており、地方航空局長の承認が必要になるのです。国土交通省は「無人航空機には、既に数 kg~10kg の物件を輸送する能力を有するものもあり、火薬類、高圧ガス、引火性液体等の危険物を輸送することが十分に可能であるところ、これらの物件を輸送する無人航空機が墜落した場合や輸送中にこれらの物件が漏出した場合には、周囲への当該物質の飛散や機体の爆発により、人への危害や他の物件への損傷が発生するおそれがあるため」原則として危険物輸送を禁止していると示しています(令和元年8月 23 日 改正(国空安第 132 号、国空航第 1014 号、国空機第 635 号)。

航空法(132条の2)では次のように規定されています。

当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。

すなわち、無人航空機を飛行させる者は危険物を輸送してはならないと規定されています。

では、具体的にどのような場合が危険物輸送に該当するのでしょうか。
航空法施行規則236条の7によると

1 火薬類 火薬、爆薬、火工品その他の爆発性を有する物件
2 高圧ガス 摂氏50度で絶対圧力300キロパスカルを超える蒸気圧を持つ物質又は摂氏20度で絶対圧力101.3キロパスカルにおいて完全に気体となる物質であって、次に掲げるものをいう。
イ 引火性ガス 摂氏20度で絶対圧力101.3キロパスカルにおいて、空気と混合した場合の爆発限界の下限が13%以下のもの又は爆発限界の上限と下限の差が12%以上のもの
ロ 毒性ガス 人が吸入した場合に強い毒作用を受けるもの
ハ その他のガス イ又はロ以外のガスであつて、液化ガス又は摂氏20度でゲージ圧力200キロパスカル以上となるもの
3 引火性液体 引火点(密閉式引火点測定法による引火点をいう。以下同じ。)が摂氏60度以下の液体(引火点が摂氏35度を超える液体であって、燃焼継続性がないと認められるものが当該引火点未満の温度で輸送される場合を除く。)又は引火点が摂氏60度を超える液状の物質(当該引火点未満の温度で輸送される場合を除く。)
4 可燃性物質類 次に掲げるものをいう。
イ 可燃性物質 火気等により容易に点火され、かつ、火災の際これを助長するような易燃性の物質
ロ 自然発火性物質 通常の輸送状態で、摩擦、湿気の吸収、化学変化等により自然発熱又は自然発火しやすい物質
ハ 水反応可燃性物質 水と作用して引火性ガスを発生する物質
5 酸化性物質類 次に掲げるものをいう。
イ 酸化性物質 他の物質を酸化させる性質を有する物質であって、有機過酸化物以外のもの
ロ 有機過酸化物 容易に活性酸素を放出し他の物質を酸化させる性質を有する有機物質
6 毒物類 次に掲げるものをいう。
イ 毒物 人がその物質を吸入し、皮膚に接触し、又は体内に摂取した場合に強い毒作用又は刺激を受ける物質
ロ 病毒を移しやすい物質 病原体及び病原体を含有し、又は病原体が付着していると認められる物質
7 放射性物質等 放射性物質(電離作用を有する放射線を自然に放射する物質をいう。)及びこれによって汚染された物件(告示で定める物質及び物件を除く。)
8 腐食性物質 化学作用により皮膚に不可逆的な危害を与える物質又は漏えいの場合に無人航空機の機体、積荷等に物質的損害を与える物質
9 その他の有害物件 前各号に掲げる物件以外の物件であって人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのあるもの(告示で定めるものに限る。)
10 凶器 鉄砲、刀剣その他人を殺傷するに足るべき物件

このような物件が危険物に該当し、これらを輸送するためには、地方航空局長の承認を得る必要があります。なお、「当該飛行に必要不可欠であり、飛行中、常に機体と一体となって輸送される等の物件は、航空法施行規則第 236 条の7第2項における無人航空機の飛行のために輸送する物件として、輸送が禁止される物件に含まれないもの」であると解されています。具体的には無人航空機の飛行のために必要な燃料や電池業務用機器(カメラ等)に用いられる電池、安全装備としてのパラシュートを開傘するために必要な火薬類や高圧ガスなどが該当します。これらを輸送する場合には承認を得る必要はありません(令和元年8月 23 日 改正(国空安第 132 号、国空航第 1014 号、国空機第 635 号)。

 

物件投下承認
無人航空機から物件を投下させると、地上の人やモノに衝突してしまう危険性があります。また、物件投下によって無人航空機の機体のバランスを崩すなど、無人航空機の適切な制御に支障をきたす恐れもあります。この理由から、飛行している無人航空機から物件を投下させることは原則として禁止されており、物件を投下させるためには地方航空局長の承認が必要になるのです。

航空法(132条の2)では次のように規定されています。

無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。
 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。

すなわち無人航空機を飛行させる者は、国土交通省令で定める場合を除き、無人航空機から物件を投下させてはならないと規定されています。なお省令には、承認を得ることなく物件を投下することができる場合について規定は置かれていません。そして、無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて地方航空局長の承認が得られた場合には、物件投下をすることができます(132条の2 2項及び137条1項)。

では、具体的にどのような場合が物件投下に該当するのでしょうか。
国土交通省によると「水や農薬等の液体を散布する行為は物件投下に該当し、輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しない。」と示しています(航空局 安全部 安全企画課長「令和元年8月 23 日 改正(国空安第 132 号、国空航第 1014 号、国空機第 635 号)」)。このように物件投下に該当する場合には、地方航空局長の承認を得る必要があります。

法令上の手続

航空法

危険物輸送
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領では、危険物輸送の承認のための審査基準が規定されています(※無人航空機の機能及び性能、無人航空機を飛行させる者の飛行経歴等、安全を確保するために必要な体制等とあわせて総合的に判断し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認められる場合にはこの基準は当てはまりません)。

審査要領には、以下の基準が規定されています(航空局長「国空安企第 161 号、国空航第 1696 号、国空機第 576 号」)。

・機体について:危険物の輸送に適した装備が備えられていること。
・無人航空機を飛行させる者について:意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
・安全を確保するために必要な体制について:真に必要と認められる飛行であること。飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定すること。飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。

上記の基準を満たすことで地方航空局長の承認を得ることが出来ます。

 

物件投下
無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領では、物件投下の承認のための審査基準が規定されています(※無人航空機の機能及び性能、無人航空機を飛行させる者の飛行経歴等、安全を確保するために必要な体制等とあわせて総合的に判断し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認められる場合にはこの基準は当てはまりません)。

審査要領には、以下の基準が規定されています(航空局長「国空安企第 161 号、国空航第 1696 号、国空機第 576 号」)。

◆機体について
・不用意に物件を投下する機構でないこと。

◆無人航空機を飛行させる者について
・5回以上の物件投下の実績を有し、物件投下の前後で安定した機体の姿勢制御ができること。
・必要な実績及び能力を有していない場合には、無人航空機を飛行させる者又はその関係者の管理下にあって第三者が立ち入らないよう措置された場所において、物件投下の訓練を実施すること。

◆安全を確保するために必要な体制について
・物件を投下しようとする場所に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行うこと。
・物件を投下しようとする場所に、第三者が立ち入らないように注意喚起を行う補助者の配置等を行うこと。

上記の基準を満たすことで地方航空局長の承認を得ることが出来ます。

弊所の対応・お問合せ

事業様自ら申請なさると物件投下及び危険物輸送の追加基準の要件で高いハードルを感じられるかと思います。
弊所では、多くの物件投下及び危険物輸送の対応実績があり、追加基準の要件を満たすノウハウを持っています。
ドローンによる補修や点検・配送をご検討の事業様は是非ご相談ください。

詳細についてはお問合せフォームまたはお電話にてご連絡ください。
academic worksドローン規制担当
TEL:03-5318-9046

この記事に関連する
サービス

Related services

無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件                                 で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと危険物輸送

サービス料金77,000円

解説動画

危険物輸送

「実績・事例」

飛行方法の中で危険物に該当する代表的なものとしては、農業による農薬散布に用いる農薬があります。また、インフラ点検・補修の際に防錆剤・補修材・塗料をスプレー缶に搭載して噴射する場合にも危険物輸送の承認が必要となります。

「関連記事」

水や農薬等の液体を散布する行為は物件投下に該当します。物件投下

サービス料金77,000円

解説動画

物件投下

「実績・事例」

輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しませんが、水や農薬等の液体を散布する行為は物件投下に該当します。また、インフラ点検・補修の際に防錆剤・補修材・塗料をスプレー缶に搭載して噴射する場合などが物件投下に該当します。

「関連記事」